月経異常にトラブルについて
月経とは、妊娠に備えて子宮の内側を覆った子宮内膜が、一定の周期で血液とともに排出される女性の身体特有の生理現象です。
初潮から閉経までの期間は、おおよそ40年です。女性はこれほどの期間を、月経と付き合いながら生活を営んでいかなければなりません。
月経時の痛み、経血量が多い・少ない、月経の周期が不規則といった症状に気づいたら、その程度にかかわらず、お気軽にご相談ください。病気が隠れている可能性も、ゼロではありません。
適切な検査・治療により、月経異常を改善・解消し、もとの快適な生活への復帰をサポートいたします。
月経不順
月経には、月経周期や変動の程度、出血持続日数において、その働きが正常であることを示す「正常月経」が定義されています。
その定義は「月経周期が25~38日の間にあり、その変動が6日以内。出血持続日数は3~7日」というものです。そしてここに当てはまらない場合を「月経不順」と呼びます。
月経不順の原因
妊娠していないにもかかわらず月経が遅れたのであれば、原因は大きく以下の2通りに分けられます。
排卵そのものが遅れている
遅れてはいるものの、女性ホルモンが分泌されている状態です。
正常月経の定義に当てはまらなくとも、2か月以内に排卵を伴う月経があれば、治療が必要ないこともあります。
排卵しないまま出血する
排卵がないために、妊娠には至りません。妊娠を希望される場合には、排卵を促す治療が必要になります。
ただし年齢やご希望によっては、治療が必要ないこともあります。
月経不順の種類
- 過少月経
- 過多月経
- 頻発月経
- 無月経
月経不順の治療
検査結果を総合的に判断して、治療法を決定します。
月経困難症
月経困難症とは
月経の開始とほぼ同時に下腹部痛、腰痛、頭痛、悪心、吐き気・嘔吐などの症状が現れ、それらの症状が月経終了に合わせて軽減・消失する状態です。一般的には「生理痛」「月経痛」などとも呼ばれます。
月経困難症は、大きく以下の2つに分類されます。
機能性月経困難症
ほとんどの月経困難症が、この「機能性月経困難症」に分類されます。
月経時に子宮内膜でつくられる物質「プロスタグランジン」によって、子宮筋が収縮することで下腹部痛などをきたします。そのほか、頭痛、吐き気・嘔吐、下痢などの症状を伴うこともあります。
器質性月経困難症
子宮内膜症、子宮筋腫、子宮・卵巣の炎症、子宮奇形などの病気を原因として、下腹部痛をはじめとするさまざまな症状をきたします。
月経困難症の診察・検査
症状の種類と程度、出現時期などを問診で確認します。
必要に応じて、血液検査、超音波検査なども行います。
月経困難症の治療
鎮痛剤、鎮痙剤などにより痛みを軽減します。
必要に応じて、低用量ピル、抗不安薬、漢方薬、温熱療法の指導も致します。
器質性月経困難症である場合には、その原因になっている病気の治療を行います。
月経前症候群(PMS)
月経前症候群とは
月経開始前の3~10日間に、手足、顔面のむくみ、頭痛や腹痛、体重増加、食欲亢進、抑うつなどの症状をきたします。これらの症状は、月経開始とともに軽減、消失します。
月経前症候群(PMS)の診察と検査
症状の種類と程度、出現時期などを問診で確認します。
必要に応じて、血液検査、尿検査なども行います。
月経前症候群の治療
不安・緊張が強い場合には抗不安薬、むくみ・体重増加がある場合には利尿剤、にきび・肌荒れが目立つ場合には低用量ピルといったように、患者様の症状に応じた治療を行います。
また必要に応じて、食事療法、運動療法、漢方薬を行うこともあります。
過多月経(月経が多い)
過多月経とは
経血量が多く、日常生活に支障をきたすような状態です。
月経の際に大きな塊が混じっている、昼でも夜用のナプキンを使わざるを得ない、1時間もたたずに交換が必要になる、以前より明らかに経血量が多い、出血の持続期間が長くなったといったときは、一度ご相談ください。
原因としては、ホルモンの分泌異常、子宮の病気(子宮筋腫、子宮内膜症など)が疑われます。
過多月経の検査
子宮頚部・子宮内膜の細胞の異常や病気の有無の確認のため、超音波検査や子宮がん検診を行います。
また、貧血になっていないかどうかを調べるため、血液検査を行います。
過多月経の治療
貧血が確認されれば、鉄剤やホルモン剤などを投与します。そのほか、月経困難症がある場合には鎮痛薬、低用量ピルなどを使用することもあります。
子宮筋腫や子宮内膜症の場合には、その治療が必要になります。
無月経
無月経とは
月経がこない状態です。妊娠の可能性がないのに3か月以上月経が停止している「続発性無月経」と、18歳になっても初潮がない「原発性無月経」に分けられます。
続発性無月経の原因としては、無理なダイエット、ストレス、下垂体主要、排卵のない病気、早発閉経などが挙げられます。一方で原発性無月経の原因としては、染色体異常や子宮・卵巣の発育障害などが挙げられます。
無月経に加えて、肥満または体重減少、乳汁分泌、無気力、陰毛・腋毛が抜けるなどの症状がみられます病態もあります。
無月経の診断・検査
続発性無月経の場合
問診にて、月経の停止期間、それ以前の月経の状態、現在の無月経以外の症状などを確認します。
その後、血液検査、超音波検査などを行います。
原発性無月経の場合
子宮や卵巣の異常を調べるため、超音波検査などを行います。
無月経の治療
病気が認められる場合には、その病気に応じた治療を行います。